ごあいさつ

大阪産婦人科医会
会長 志村 研太郎

 このたび大阪産婦人科医会会長に就任させていただいた志村研太郎です。
岩永 啓 元会長、高木 哲 前会長のもとで、副会長を務めてまいりましたが、会長という大役を仰せつかり、責任の重大さにいまさらながら身の引き締まる思いでおります。

 大阪産婦人科医会は、大阪府内の産婦人科医のほぼ全員、1,300 人余りの会員 が所属施設や出身大学を超えて協力し合う、大変まとまりの良い組織であると会員のひとりとして誇りに思っております。日本産婦人科医会の役員として東 京に参りますと、よく大阪の組織率の高さ、まとまりの良さがうらやましいという声を聞きますし、近畿6府県のまとめ役としても高い評価を得ております。これはこれまでの諸先輩の努力のたまものであり、今後ともぜひとも守ってゆきたい伝統であると考えております。

 医会の役割については、当然ながら第一に会員の先生方が安心して産婦人科 の診療・研究を続けていけるような研修・就労そして医業環境の整備-すなわち産婦人科診療の 質・量の充実をお手伝いすることと考えております。そし て、産婦人科診療を通じての社会貢献もまた重要な使命と考えております。

 これまで諸先輩の業績として、全国に先駆けての周産期救急搬送システム― OGCSは大阪の誇りですし、婦人科救急システムも実績を上げております。また、未受診妊婦・飛び込み出産の調査も会員の先生方のご協力で 7 年目を迎えます。その社会的、経済的背景の分析から「児童虐待」との共通性が明らかとなり、「妊娠等の悩み相談窓口」の実績とともに、行政、教育関係者らを巻き込んだ「安心母子の委員会」の活動につながっています。いずれも、全国でも先進的な取り組みであり、業績が高く評価されています。

 さて、今後の医会の活動について少し考えてみたいと思います。
わが国の急速な少子・高齢化への対処は、国家を挙げての重要課題であります。高齢化による労働力の低下を補完する目的で「男女共同参画社会」という美名のもと、女性が社会に進出して要職を占め、労働力比率を高めることが求められています。安倍政権でのキャッチフレーズは「女性が輝く日本へ」です。その一方で、「50 年後人口 1億人維持」を国家目標に、合計特殊出生率を人口維 持可能な 2.0以上に引き上げる― まずは現状の 1.43 を 1.8 程度にまで引き上げるという目標を掲げていますが、なんとも女性にとっては無理な注文ではないかと感じられます。このような過重な負担を押し付けられている現代の女性をサポートすることは、一生に亘る女性の健康支援を使命と心得る産婦人科医の重大な責務ではないでしょうか。月経困難症、月経前症候群、更年期症候群など就労の障碍となる女性特有の疾患の治療がますます重要となります。

 妊娠への支援としては、子宮・卵巣疾患の早期発見、機能温存治療によって 妊孕性を保つこと、年齢の上昇とともに難治となる不妊症治療、高年妊娠における周産期の母児リスクの軽減など、出生数が減少したとはいえわれわれの仕事は増える一方です。言い換えれば、産婦人科診療はまだまだ量的に拡大する余地があるということになります。

 産婦人科医が不足します。若い仲間を増やし、女性医師がキャリアを維持しながら妊娠・出産・子育てのできる環境を作らなければなりません。ほかにも、女性― 特に妊娠・産褥期のメンタルヘルスへの取り組み、法人化についての検討など、医会の抱える課題・業務は山積しております。

 私は決して強いリーダーシップを持って組織を引っ張ってゆくようなタイプではなく、そのような能力は持ってはおりません。ただ、10 年間にわたる副会長の業務を通じて学んだことは、大阪産婦人科医会には、理事、評議員の先生方をはじめとして多くの有能の士がおられることです。私にできることは、まとめ役として先生方に能力を発揮していただくことだと心得ております。それができれば会長としての役目が果たせると考えておりますので、今後とも医会の業務にご理解、ご援助賜ることをお願いして就任のあいさつとさせていただきます。

©2007 大阪産婦人科医会